人気の無い校舎の裏側
ケントとあやねが話している

あやね
「・・・別れよう」

それを聞いたケントは
ショックを受けながら答える

ケント
「もう一回始めようよ・・・
　あやねちゃん・・・

　・・・あやねちゃんが好きだよ
　これから、もう一度やりなおそう！」

あやね
（もう一度・・・）


一瞬、ケントに感動するあやね
だが、すぐにこう答える

あやね
「だめなの・・・
　あたしが、だめだなの

　あたしは、自分の事が嫌いで・・・
　いつもずるくて・・・

　そんな自分から・・・
　抜け出したかった・・・

　今まで怖くて、甘えて
　抜け出せなかったけど・・・

　もう誰かに甘えるのは・・・
　嫌なの・・・

　あたし、東京に行く！
　一人で東京に行く！

　落ちるかもしれないけど
　後悔するかもしれないけど

　本気で自分の力で
　頑張ってみたいの！」

ケント
「・・・オレが東京へ行く
　って言っても別れるの？
　遠恋しようって言っても？」

あやね
「うん、一人じゃなきゃ意味ない
　でもこれは、あたしの事情で・・・

　もっとちゃんと・・・
　言わなきゃいけない事がある

　もっと、酷い事・・・」

あやねがケントを見つめる

あやね
「好きになれなくてごめん！

　・・・同じ気持ちで
　好きになれなくてごめん！

　・・・同じように
　考えられなくてごめん！

　ケントと一緒に・・・
　出来たらよかった

　同じ気持ちで・・・
　出来たら良かった・・・」

ショックを受けるケント

ケント
「・・・オレと付き合って
　後悔してる？」

あやね
「・・・付き合わなければ
　良かったんじゃないかと思った

　でもこんなに大事にされたの
　始めてで嬉しかった

　あたし、ケントと・・・
　付き合えて良かった

　付き合えた事に後悔はない」

あやねのその言葉を聞いて
ケントは少し明るい顔になる


そして以前、風早に話した
自分の気持ちを思い出すケント

ケント
「オレがいた意味あったわ・・・
　・・・別れよ！あやねちゃん

　好きになろうって
　好きになるわけじゃないの

　オレがよく分かってるはずなのにさ
　バカだね、オレ

　色んなあやねちゃん見てきた

　突っ込みバシバシ入れる
　あやねちゃん好きだったよ

　オレがそんなあやねちゃん・・・
　封印させてた・・・

　大学の事・・・
　オレが言わせなかったんだ」

あやね
「違うよ！！

　あたしが怖くて言えなかったの・・・
　大事な事なのに・・・」

ケント
「・・・優しい」

あやね
「優しくなんかない！！」

ケント
「優しいんだよ！！」

ケントが以前あやねが言った
言葉を思い出す

あやね
【あたしの事・・・
　本気で好きになる人なんかいない】


ケントがあやねの両肩を掴む
真剣な顔であやねに言う

ケント
「ちゃんと聞いて！
　あやねちゃんは、ちゃんと優しい

　忘れないで、ちゃんと覚えてるんだよ
　それで次は、すげー好きな奴作って！！

　すげー好きな奴だよ！！」

号泣しながら答えるあやね

あやね
「うん・・・
　ごめん、あたし最後まで酷いね・・・
　ケントの前で泣いてばかり」

ケント
「でもそれ、オレのために
　泣いてくれてるでしょ？」

　嬉しーよ！付き合う時と今
　オレのために泣いてくれた！」

笑顔になるケント

ケントはいつもの素に戻り
あやねを笑わせようとする

ケント
「オレ、嬉しかったよ

　泣いてくれたのも
　笑ってくれたのも

　最後までピアス付けてきてくれたのも
　あやねちゃんと付き合えて嬉しかったよ」

涙が止まらないあやね、笑顔のケント
最後に手を握り合う


ケントが教室に戻る途中、風早に会う
（風早は心配で待っていた）

風早
「・・・大丈夫？」

ケント
「粘ろうと思ったけど・・・
　トドメくらっちゃった

　女の子って別れる時・・・
　本当の理由なんか言わないでしょ？

　・・・大体、突然だよね
　でも、突然じゃなかった

　・・・言ってくれたよ
　がっちり別れる理由

　覚えてっかな？
　前に風早に言った事・・・

　あやねちゃん・・・
　内面見せてくれたよ

　踏みこませてくれた
　少しは自信ついたかなぁ・・・」

風早
「三浦・・・結構、いー奴だね・・・
　一人になりたいなら行くし

　言いたいなら・・・
　吐きだしたいならいるよ」

ケントの話を聞く風早


あやねが教官室にいる
ピンに会いに行く

真剣な顔つきのあやねが言う

あやね
「あたし、推薦取り消します！
　受験します、J大！！」

ピンとあやねが真剣な顔で見つめ合う

ピン
「おう！！

　後悔しろって言ったけどな
　頑張った記憶がある奴はちゃんと
　立ち直ることが出来る！

　頑張れ！！」

あやね
「はい！！」


１人で帰宅途中のあやね
ピアスを外し、ギュッと握る

あやね
「頑張る！！」

涙を流しながら決意するあやね

次号、休載