第183話　デンゴン



万里花が急遽転校し、御影に電話した楽

万里花の事を色々聞いた一同

羽が手配してくれた飛行機で九州へ急いで行く事に



千棘「九州までってどのくらい？」

鶇「2時間弱でしょうか　この分なら夕方には着けそうです」

羽「皆気をつけて行ってきてね　万里花ちゃんの事よろしく！」

楽「おう！」

千棘「行ってきます羽さん！」

見送る羽（まさか万里花ちゃんも私と似た境遇にあっただなんて…だからその時…ありがとう万里花ちゃん、少しだけ待ってて　万里花ちゃんは1人じゃないんだから…）



御影と電話する楽

御影「空港に着いたら車ば回しとくけん乗っちくれっちゃ　万里花んちまで案内させるけん　私も今から万里花んとこ行ってみるばい　あとは現地で落ち合おうっちゃ」

楽「おう！色々とサンキューな！また後で！」

通話が終わる

御影（ホント…良か友達の出来たっちゃね万里花…でもゴメン皆…私…まだ1番大事なこと言うとらんとよ…ゴメン　でも今は…今はまだ…）

飛行機は飛び立ってゆく



その頃、実家にいる万里花

本田「…少々お待ちを、じき母君様がお見えになります」

しゃがむ万里花「…そう…」

本田「…何をなさっているんです？」







しゃがんだ万里花はクラウチングスタートの構えをとっていた「決まっているでしょう、逃げるんです」

凄まじい勢いで走り出し、そのまま窓を割って外に飛び出す万里花だったが…






いとも容易く本田に捕まってしまう






捕縛されている万里花「…腕を上げましたね本田　カッチリ縛られてるのに痛くありませんわ」

本田「…いい加減慣れましたので」









そこに母がやってくる

母「…おかえりなさい万里花　思ったより元気そうね」

万里花は怪訝な表情をする

母「高校生活は楽しかった？電話に出ないから心配してたの」

万里花「…おかげ様で　こんな形で帰る必要がなければもっと楽しかったのですが」

母「それは良かったわ　これで心おきなく婿を取ることが出来るわね　明日の式だけど何か要望はある？可能な限り叶えてあげるわよ」

万里花「…そうですか　では式は洋装にして下さいな　私憧れてたんですよウェディングドレスとか　ついでに私を凡矢理に帰して下さいませんか？そして二度と私に関わらないで下さい」

母「それは無理、だって約束したもの　あなたは自分から仕掛けた勝負に挑みそして負けた　大人は約束を守るものでしょう？」

睨むように見続ける万里花

去っていく母「式の件は手配しておくわ　じゃ明日また会場でね」



その頃、楽達が車で万里花の家の前まで到着する







楽「…ここが橘んち？…でか、つーか完全に城じゃん　武家の家系とは聞いてたけど行き過ぎだろ　コレホントに人住んでんのか？」

るり「意外と中は近代化されてるのかもね　監視カメラとかあるし」

遠くに目を凝らす千棘

楽「？　どうした千棘」

千棘「いや…なんか1枚だけ窓が割れてるから何かなって」

楽「窓？お前そんなのよく見えるな…とにかく中に入れてもらおうぜ　急いで橘の母ちゃんと話さねーと」

千棘「ちゃんと聞いてくれるといいけど…」

インターホンを押す楽

＊「はい、どちら様でしょうか」

楽「あっすみません、僕達橘万里花さんの友達なんですが…万里花さんの事でお母さんとお話ししたい事がありまして…」

＊「…失礼ですがアポイントメントはおありで？」

楽「へ？」

＊「アポイントの無い方をお取り次ぎする事は出来ません　申し訳ありませんが後日改めて…」

楽「後日じゃダメなんです！明日の結婚式についての大事な話で…」

＊「規則ですので失礼します」


切られたがすぐさまもう1回押す楽

＊「はい、どちら様…」

楽「じゃあ万里花さんに伝えて下さい！！オレ達が来てるって…そしたらきっと…」

＊「お伝えする事は出来ません、では」

再び切られる

るり「…取りつく島もないわね」

小咲「どうしよう…」

鶇「まさか伝言を頼む事すら出来ないとは…どうなっているのだ？」

集「せめて万里花ちゃんと連絡が取れれば助かるんだけど…弱ったねぇ　ケータイ通じないし」

何か考えている様子の千棘が手を上げる「はい、私に名案があります」



その頃、アポを取っていた御影は万里花の部屋へと行っていた（面会は20分間と限られている）

扉を開けて入る御影「万里花〜久しぶりば〜い　元気しとっと〜？」






しかし万里花は勿論やさぐれている

御影「どげんしたと！？大丈夫ねあんた！？なんか見た事なか顔しとーとよ！？」

万里花「あら御影じゃありませんか　そりゃこげん顔にもなるとよ　しょせんウチは勝負ん負けた負け犬ばい　こいでウチの人生は終了　おしまいバイバイサヨウナラ　もうどうでもいいぷ〜」

御影「…おお…荒れてんね…」

万里花「…自分の運命を変える為の勝負に全力で挑んで負けたんです　こんな時くらい…落ち込んじゃいけんと…？」

御影「…こげん時くらい…思いっきり落ち込んだら良かよ…そいにしても、あんたがここまで落ち込むとはね　よっぽど向こうが楽しかったとね」

万里花「当たり前ちゃ、あん楽様と一緒におられたんよ？」

御影「楽様だけと？」

万里花「…どういう意味ね？」

御影「他にもいっぱいおったんやなか　あん人らと一緒におるんも楽しかったんじゃなか？」

万里花「…別にそがんことは…　…そーね、楽しかったんばい　ほんとに…人ん恋路ば邪魔ばっかしよっとクセにホントは誰よりも純情な鶇さんとか、なんだかんだ面倒見の良か宮本さんとか　どこまでもお人好しな小野寺さんとか、ホントは怖がりなんに頑張っとう羽さんとか　変態気取りばってん1番周りばよう見とう舞子さんとか…あとは…フフ…」







千棘とやりあっている光景を思い浮かべる万里花

御影「…もう1度会いたかと？」

万里花「…叶うち言うならね…でも無理ばい　ウチん転校の手続きは本田のやったばい　こん家に繋がる情報は全部消されとる　楽様達からの追跡は不可能っちゃ　本田がそげん隙作るハズもなかやし　もし来られたとしてもとても会って話すなんて…」

その時、千棘の大声が鳴り響く「万里花ァーいるー！！？？」

万里花は信じられないといった表情

御影はしたり顔

本田はもちろんこの声を聞いている


■響かせ、届かす…!!!