月山邸に潜入したCCG捜査官たち。
上空にはヘリに乗った政。

宇井が観母へ声をかける。佐々木たちも周囲に待機していた。

宇井「─月山観母だな」

観母「oui」

宇井「動くなー」

観母「逃げるつもりも戦うつもりもありませんよ」

「我々は、紳士です」

軽蔑した目線を送る宇井（グールが戯言を….）





観母「奥に使用人がいます 調べればわかるでしょうが彼らもグールです」

「投降します 抵抗は無駄でしょう」
「ヒトとして生きてきました…..」
「どうぞ　最後までそうさせていただきたいー」

両手を上げる宇井。

"月山観母"確保の報せはすぐに外の捜査官たちへも伝わっていく。


捜査官「確保？抵抗しなかったのか？」「屋敷で使用人と一緒だったようだが…」


才子「よし 帰ろ」

瓜江（このまま任務終了!?） （ふざけるな…!!暴れろロゼ!!駆逐数を稼がせろ!）

佐々木（キナ臭いな…）

（なにかあるー）



上空から様子を伺う政が駐車場の異変に気付く。

政(車がない─!?）

通信機を手に取る政『ー宇井特等』

宇井『ええ タイヤ痕が残ってますー』

すぐに観母が所有する車両を調べるよう指示を出す宇井。

政（主を置いてどこへ逃げる月山…主よりも大事なもの…まず妻…そして…）」

（子か）

宇井（なるほど跡継ぎ…）

同じ考えに至る２人。

「ー作戦を継続する　月山観母の移送は別働隊に任せ、伊丙上等には先行して動くように伝えろ！」



宇井「ー月山の残りカスを追う」

「殲滅戦だ」


政（やつらも馬鹿ではあるまい…検問や交通規制の可能性を考えれば そう遠くは行けないとわかるはず…）

（ーそうか）


「月山グループが所有するビルのリストをよこせ」

（小賢しい虫ケラが….）


【松前＆月山習】
車を走らせる松前「ーええ 7区を経由して8区まで抜けます」

「その後は手はず通り…」


「ーお早うございます習さま」

睡眠薬の効果が切れ、目を覚ました月山に運転席から声をかける松前。


月山「我々はどこへ向かっている..？」

松前「ドライブです」

松前「─習さま少々お疲れのご様子とのことで観母の計らいで」

不穏な空気を感じ取る月山「松前」

「どうか僕の目を見て答えてくれ…パパは….」
「父はどこだ？」


松前「…観母様はお屋敷に残っておられます 他の使用人とも一緒です」

「月山家の社会的権限は 本日の19時をもって完全に消失いたしました」
「行方の知れないカナエかアリザのどちらかか、もしくは両方から情報が漏出したのでしょう」

衝撃を受けている様子の月山「wai….」

「…待ってくれ　つ…つまりそれは….」

松前「月山家は終わり　ということです」

「観母さまらは我々が23区を出て行けるまでCCGを自ら引きつけられるおつもりです」


月山「僕が….」

「僕達が逃げられるように…..」

（これではまるで….）

CCGによるあんていく襲撃を思い出す月山。
芳村店長や"魔猿"古間たちの姿が浮かぶ。


叫ぶ月山「─松前ッ!! 屋敷へ引き返せ!!」

松前「出来ません」

月山「父を助けにゆかねば…」

松前「なりません」

月山「まつまああああああ!!!」

冷静な松前「駄目ですー」





「ー我々の不手際ゆえ、月山家の歴史の一幕がおります」
「しかし習さまさえいれば血と歴史は形を変え、つながってゆきます」
「一族はあなたさえいれば良いのですー」


月山「僕が皆の命を…全てを背負う….」

（そもそも月山家が窮地に陥ったのは僕の…）

松前「それが当主です」


「一人一人を労るそのお気持ちがあるのでしたら ゆめゆめ皆の想いを無駄になされぬよう」
「不肖ながらこの松前…引き続き”新・当主様”のお力添えはさせて頂きます」

その言葉に、手が震えるようにも見える月山。


月山「─叶とアリザは…どうなったんだ…？」

松前「まだ連絡はとれておりません─」

月山（…どちらにせよ月山家は終わる….）

（僕がパパを助けに戻れば犬死となってしまうかもしれない…）
（……ああ　こういう気持ちだったのか…）
（とめられないわけだ….）


背景にはあの日引き止められなかったカネキの後ろ姿


「……….わかった…..」

松前「……」


そして松前がいうにはこれから二人は8区にあるグループ所有のビル「ルナ・エクリプス（L・E）」へと向かうのとのこと その屋上にてヘリを手配しているのだという

松前「ーしかしL・Eに手がまわるのも時間の問題　お時間はございません　急ぎましょうー」


月山「ー！」

「これは….」

松前「”アサダ貨物”の浅田二郎氏　”ジュエリー・ティコ” ティコ・ヨハネス氏 このL・E所有企業である”アポログループ” ”アポロTEC” 呉井氏ー」

呉井「グループ傘下のアポロ林業からは木材搬出用のヘリを調達させてございます」

そして場面はルナ・エクリプスへ。
中へ入ってすぐ何十人ものグールたちがずらりと並び、月山も驚きの表情。





呉井「習おぼっちゃんの危機とあり急ぎ駆けつけて参りました」

浅田「ヘリの到着まで時間がかかります 我々が責任をもって習さまをお守りさせて頂きます」

月山（僕の知らないグールがこんなにも…）

松前「皆月山グループの喰種なんです」

そう話しつつ二人は屋上へ向かうエレベーターへ。


月山「あんなにも多くの者達が….改めて父の偉大さを感じるよ….」

松前「ええ」

「一族が作り上げたものです」

月山（パパ….）


またモニタールームでは先ほどの三人の姿が

浅田「習さま 小さい時にお姿を一度拝見した限りだったがずいぶんな美男と成長なされた」

「それでいてあの知的な所作….」

「若い時の観母さまを彷彿とさせますな」

呉井「しかし目元などは奥方様そっくりで…」

ティコ「是非ウチのモデルになって欲しかったな　あのルックスだ　彼はモデルでも成功したよ」

呉井「喰種の広告塔か！そいつはいい！」





「ー観母さまのためだ 一族への恩義はここで」

「ー命を尽くし恩をお返ししよう」

「ーええ」

「…..しかしずいぶんと”上”が優秀らしい」

「お早い到着だ」

「感傷にひたる暇もないとは」



ハイル「殲滅開始」





すでに宇井らの指示でビルを割り出していた。
ハイルが指揮を執る。

『ー建物内の喰種を　すべて駆逐します』


そして一気に戦闘が始まる。


政（ー車両での逃走に限界があると見れば、残るは海か空…貨物船や小型船での逃走も考えたが”最速”を考えればやはり”空”）
（月山グループが所持するビルでヘリポートがあるのは二箇所..3区にあるチャンドラクレストと8区のL・E….）
（どちらのビルも屋敷のある21区からは距離的にそう差異はないように見えるが、東ブロック21区から中央ブロック3区へは厳しい検問が設置できる）
（それを踏まえれば、8区のL・Eへ向かうのが奴らにとって最善の策）


政「ー大至急迎撃用のヘリを用意しろ」

「楽しいゴミ掃除だ」


場面変わり、慌ただしく動く佐々木たち。

捜査官達「ー先行部隊は戦闘を開始した模様です！」

「わかった！すぐ向かう！」

「逃走した月山を追うぞ！」

「急げ！！」



瓜江（やはりそうこなくてはー！！）

（急がないと俺のグールが先行組に殺されてしまう….それにしてもワクワクが止まらん…）

含み笑みの瓜江。
しかし不知はどこかすっきりしないような表情。

そんな不知の肩を叩く佐々木「─考えるのは」

不知「！」

微笑む佐々木「….シャトーに帰ってから」

不知「……」


「ッス！」


佐々木（よしー）

（待ってろ…”月山”ー）

また、最後のコマではエト、ノロが動きだす描写も。






■予想外の任務が始まる─…!! 次号、月山家の策とは…!?