『着火』


大歓声を聞き、引き返した栄一郎
そこで目にしたのは…

火が着いた、いわば【ゾーン】に入った
池のスーパープレーだった

難波江が普通なら2度も
ポイントになるパスを打ったのに

池はそれに触るだけでなく、
相手を倒すにはここしかない、
という場所に打ち返す

そして今までバックで
打ち返していた球を
フォアの態勢で待ち構えると

読み合い的に難波江の動きを封じ、
足止めさせてきっちり倒す

こうして池は第1セットを6-4で制した
栄一郎が観戦できたのはここまで


青井コーチと一緒に移動中、
浅野が栄一郎に呼びかける

浅野は門馬に一度も
負けたことがないという、

そんな彼は話したいことが二つある

一つは門馬が守備を解き、
攻撃に切り替えた隙を突くというもの

そこまでは栄一郎も青井と
相談してはいたが、肝はその先

実は門馬を崩すには、
門馬が守備をしなくていい
状況の方が崩しやすい

だからと言って簡単に
攻めさせてもいけないし
具体的には言えない

もう一つは、浅野が日本代表の
コーチを引き受けたこと

栄一郎が門馬を下すようなら、
栄一郎は代表B入りして
浅野とも関わるかもしれない

栄一郎と浅野の間を割るように、
門馬が通り抜ける


煽り
「全日本4連覇の王者 門馬！
　決選がいよいよ…！