扉絵は平和な極星寮の日常。





甲山の敗戦を見ていたソーマ達。

「こんなの酷いよ…!! 食戟の審査員まで…敵だなんて…!」


落ち込んで動けない甲山を背に去っていく叡山。


【控室】
先ほどの食戟の審査員３人にお茶を入れる叡山。

叡山「茶番に付き合ってもらって感謝しますよ」

審査員Ａ「利害が一致しているからね」

「我々はセントラルの理念に強く共感している 同じように感じている者は大勢いるだろう」
「薊態勢の柱となれるなら努力は惜しまないさ」

ニヤっと笑う叡山。


【極星寮】
食堂に集まっているソーマたち。えりなの姿も。

「公平な試合ができないなんて…」

榊「味見すらしないなら…食戟に挑戦してもしなくても…結局極星寮は…終わりってこと？」

佐藤「じょ、冗談じゃねぇぜ!!」

青木「うおー俺たちの家がー!!」

田所「…それに 薙切さんだってせっかくの隠れ場所を無くしちゃう…!」

えりな「……」

ソーマ「……」


【食戟管理局】

秘書が局長の部屋を訪ねる。

コンコン…ガチャッ

秘書「失礼します…局長？」

返事もできないほど落ち込んでいる局長の姿。





局長「あの…大丈夫ですか？」

局長「…うっ…まだ昨日の食戟のショックから立ち直れんよ…」

拳を握る局長「何が薊態勢だ…真剣勝負を挑むのは神聖かつ不可侵の権利 それが食戟だったのに…あの野郎が…台無しに…!」

「…それで？ 何の用だっけ？」

秘書「…お客様です」

局長「!!」

現れたのは叡山「よお 局長さん」

局長「叡山枝津也…! 何の用だ…!」

叡山「あ？ ただの確認だよ」

「確か食戟が１００件以上申し込まれてたはずだからな まだ残ってるかなってよ」

悔しさをにじませながら言い放つ局長。

局長「全て…キャンセルだ…!」

叡山「ハッハッハ!! マジか、そりゃショックだぜ!!」

「いや残念だぜ! せっかくこっちも受けようと思ってたのによ!」

悔しそうに舌打ちする局長をニヤニヤ見つめる叡山。



【講義】
「これが今日から君たちの学ぶメニューだ」

ナレーション：
全ての講義には薙切薊によって招かれた外部講師が参加し、
セントラルのメンバーによって選ばれたレシピを紹介することになりました。

講師「これからはこの技術が遠月のスタンダードになる しっかり学ぶように」

鍋を火にかける伊武崎。
そこに外部講師が声を掛ける。

講師「伊武崎サン この料理には蒸し煮の方法を使います 温める際はオーブンを使用して下さい レシピに書いてあるでしょう」

伊武崎「…僕はいつもこのやり方なんです わざわざ変える理由が分かりません」

講師「君がそれを判断する必要はない セントラルの決定は絶対なのだから 分かったら始めなさい」

伊武崎「……」


ナレーション：
研究会やゼミの解散は続き、すでにほとんどの団体が学校からは消えていました。


丸井「そうか…郷土料理研究会まで解散に…」

田所「…そうなの 丸井くんも？」

丸井
「ああ…無効を求めたけどダメだったよ…」
「あの”食戟もどき”のせいで改革が急激に進んでる…」
「…極星寮の退去日も迫ってる…あと10日か…」

田所「……」

目を伏せる田所。


【極星寮】

灯りも点けていない部屋でぼーっと考え事をしているえりな。





パチンと部屋の灯りがつく。

「薙切さん？」

やって来たのは榊。

えりな「榊さん…」

榊「どうしたのよ こんな暗い中で座り込んで…」
「夕食の時間よ よかったら食堂に─」

えりな「分かってるでしょ、あたしの─!」

榊「？」

えりな「…いえ…何でもないわ…」

榊「と、とにかくいらっしゃい! 冷めちゃうわよ!」


【食堂】
無言で箸を動かすソーマたち。
えりなも無言でご飯を食べている。

吉野「この寮…本当に…なくなっちゃうの…？」

佐藤「みてえだな…」

吉野「はぁ～…情けないよね…」

「寮生活も…長かったようであっという間だった…」

田所「でももう３年半も住んでるんだよ…」

青木「…そうだぜ! 思い返せばいろいろあったろ？」

吉野「ふみ緒さんの入寮試験とかね! あれはショッキングだったな～」

青木「いやいや! 一番は一色先輩の打ち上げだろ～」

榊「あー確かに…ハハ…」

丸井「寮に来て真っ先に見たのがセンパイの裸エプロンだったからね…」

「この寮やめといた方がいいよって言われた時ホントに心配したんだよ…もう慣れたけどね」

えりな(“裸エプロン”？ 裸エプロンて何のことかしら…？)


田所「あたしも入寮まで3ヶ月かかって…その間ふみ緒さんが納屋に泊まらせてくれたんだよ」

ソーマ「うおっマジか」

吉野「恵は見かけによらずタフだからね!」

「それに幸平が来てから高校生活が始まったんだよね～もういろいろ懐かしすぎ!」
「伊武崎が勝手に燻製室１号作ったの覚えてる？」
「覚えてる覚えてる!! ぼや騒ぎでふみおさん激怒して…」


吉野「色んな…ことが…」

田所「悠姫ちゃん…？」

号泣する吉野が叫ぶ。

「やっぱヤダよぉ～～!! 極星寮がなくなるなんてやだぁーー!!」
「みんなと…ﾋｯｸ…一緒に…一緒に料理したいよぉーーー!!!」

感情が爆発するかのように泣きだす吉野。





田所「…悠姫…ちゃん…」

榊「悠…姫……うぅ…」

榊も泣き出してしまう。
抱き合って泣きじゃくる３人。





男連中もお通夜状態。


【303号、ソーマの部屋】
ソーマは遠月に入る前に城一郎と交わした会話を思い出す。

ソーマ「なぁ親父 極星寮ってさ…親父にとってどんな場所だったんだ？」

城一郎「面白かったぜ! 皆好き勝手自分の料理を極めてよ」

窓の外を見つめるソーマ。

そして翌日。
学校の廊下で対峙するソーマと叡山。

叡山「…はぁ ったく勘弁してくれよ幸平」

「まだ状況が分かってねえのか？ 審査員も全員敵だ 負けりゃ退学」
「味見する前から結果は決まってんだ リングに入った瞬間に死亡確定ってこと 分かる？」
「それでも…食戟をしろってか…？」

ソーマ「そっすね」

叡山「寮のお友達が泣いちゃうぜ あんなちっぽけな店に戻ったってどうしようもねえだろ？」
「人助けする英雄を気取りたいのもわかるがやめとけや…勇敢と無謀は違うぜ？」

立ち去ろうとする叡山の前に紙を突きだして止めるソーマ。





ソーマ「別に寮の奴らのためなんかじゃないっすよ」

叡山「…あ？」

ソーマ「あくまで俺のため 極星寮は…俺の料理を究めるための城なんだ」

「だから─

受けろよ食戟

俺の寮は潰させねー」

ソーマの持っていた紙には『果たし状』の文字が。


■創真の反撃が始まる!!


情報入り次第更新予定!!