『剣士の瞬間(とき)』

--------------------------------------

■征野の記憶…。

背景は攘夷戦争時代の銀時と馬董

馬董「まさかこんな宇宙の果てで」

そして現在向い合う銀時と馬董

馬董「再びお前と剣を交える事ができるとはな 白夜叉(さむらい)」

新八「ぎ…銀さん！！」


銀時「……オイ」


「顔にいたずらされてますよ」

無反応の馬董

銀時「オデコ…自分の顔を鏡で見て来た方がいいっスよ いや邪眼じゃなくて下の目で まだみんな気づいてないんで」

コソコソと馬董に言う銀時

銀時「うわっ よく見たら目ェ縫いつけられてる！？寝てる間にやられたんスか 海賊の寝起きドッキリハンパねェ」

そして後ろに居る春雨達に声をかける銀時

銀時「オイそこでコソコソ見てる奴等！解ってんだぞ 笑ってんの！いくら海賊でもイタズラが過ぎんだろ 瞼縫うのはねェだろ これじゃあ折角のオデコのイタズラ描きも見えねェだろうが リアクションとれねェだろうが」

そして馬董に向き直る

銀時「アンタもアンタでさァ 言う時はビシッと言わねェとダメだよ」

そして馬董に手ぬぐいを差し出す

「ホラこれでふけよ あっ見えねぇか　イジられキャラなのかもしんないけどさ オイシイと思ってるかもしんないけどさ　やっぱりイジリとイジメの境界ってあると思うよ」

そして手ぬぐいにペッっと唾を吐き馬董の額をゴシゴシとこする

銀時「アレ？消えねーな このイタズラ描き」



そして手ぬぐいをだし馬董のオデコの目を拭きはじめる

ビームサーベルで銀時を吹っ飛ばす馬董

銀時「ごあっ」

馬董「これでも人より覚えられやすい顔だと思っていたが だがお前も剣士ならば この剣だけは忘れていまい」

「宇宙中の剣士達の頂に君臨する この星芒剣王の剣を」

■閑寂の雨に煙る－－。


馬董が斬った建物が上空から降って来る 逃げる銀時ら

「おわああああああ」

新八「どっどうなってんですかァ！ビルをまるで豆腐みたいに！あの化け物は一体誰なんですか！」

剣を振り回す馬董から逃げる新八 銀時 万斉

万斉「春雨第二師団団長 三凶星 馬董にござる」
「十二師団長の中でも個の武でいえば最強クラス 剣をもてば あの神威殿にも匹敵する強さをもつと言われる春雨筆頭剣士」
「あらゆる星の剣士を狩り尽くし“星芒剣王”の称号を得た男が 今度は地球の侍(けんし)を狩りに いや逃した獲物を狩りにきたのかもしれんな」

銀時「……」

逃げる足を止め馬董に向きあう銀時

新八「！銀さん」

銀時「いけ どうやら俺の客らしい」

万斉「……この一戦は侍の誇りを賭けた戦 負ければあの星芒剣王(おとこ)がへし折ってきた無数の剣士(けん)に侍も加わる事になる 貴様一人に全ての侍の誇りを賭けろと」

銀時「そんなもん背負うつもりはさらさらねェよ だが敵 (やろう)がどこで誰を何人へし折っていようが 俺はお前達が賭けた侍を何度もへし折ってきた 何度もへし折られてきた」

背景には村塾時代の高杉と銀時の稽古の様子


銀時「その誇りは捨てるつもりはねェよ」

そう言う銀時の背後に高杉の姿を重ねる万斉



そこに現れる春雨の集団

「！！」

万斉が三味線の弦と刀を使い春雨手段を倒す

新八に声をかける万斉

万斉「ゆくぞ小僧 貴様も侍ならば 賭けた侍に恥じぬ戦をしろ」
「奴等は必ず帰る 見せつけてやろう」

「宇宙に 侍というものを」


万斉新八サイド 銀時サイド
それぞれ闘っている様子

銀時サイドは建物が次々壊れるほど激しい打ち合い

馬董「思い出したか侍 この瞬間を 互いの命を剣に乗せ 語らうような 剣士(われら)だけの愉悦の時を 数多の剣士が俺の前で砕け散っていった 最早この命に届く剣士(けん)はないと諦めていた そんな俺に こんな瞬間(とき)をくれたのは お前だけだ」


馬董「侍ィィィ会いたかったぞォォ！」

激しい一撃をくらい地面に叩き付けられる銀時

銀時(コイツ…まるで俺が次にどこを打つか見えているかのように攻め手を押さえて…)

馬董「その通り」

銀時「！！」

「見えているのさ」と言いながら額の目を指す馬董

馬董「お前の姿をこの双眸で見る事はできなくとも この額の目は全てを見ている 俺の種族は昔 耳も口ももたぬ種族だったらしい そう俺達はかつてこの“覚眼”と呼ばれる 一ツ目だけで意志交換を行っていた 俺ははるか昔に退化したこの覚眼(さとり)を再び覚ますために目も耳も塞いだのさ 俺の目にはもの言わぬ路傍の草木さえひどくおしゃべりに見える 自らの感情を全て吐露し 泣き喚くヒステリックな女のようにな」


ハッとする銀時

銀時(そうか コイツ あの時の)

～回想～

馬董「捜していたのは俺の方だぜ」




～回想終わり～


銀時「俺の３００円返せェェェ！」

馬董「いや 違うそれ」

銀時「え？俺の見つけた３００円横取りした奴じゃないの？」

馬董「いや違うな それ…全然」

銀時「あっ 待て ４００円だった…」

馬董「４００円とか３００円とか関係ないな 心読めるし顏違うしホクロだし何もかも違うし」

再びハッとする銀時

銀時(そうか…コイツあの時の…!!)

馬董「思い出したか そうだ 俺はあの時の…」

銀時「お前の３００円返しにきたァァ！」

馬董「いや ３００円貸した奴でもないね」

銀時「…ああ そう ３００円借りたっていうかホントは６００円借りてたんだけど」

馬董「６００円とか３００円とか関係ないな 金輪際３００円とは関係ないな」


思い出さずにいる銀時に「コケにされたものだ」と返す馬董

馬董「俺はお前を１０年捜していたというのに 」

銀時「おっ 覚えてるって 俺も１０年捜してたって」

馬董「俺はあの戦いを昨日の事のように覚えているぞ」

「白夜叉(ばくやさ)」



銀時
「お前も別人だろーが！！」

煽り
「勝負の行方は…！？」

銀魂 570話 ネタバレ 最新に続く