ニセコイ ネタバレ 212話
『バイバイ』

扉絵
「後ろ姿の千棘」

煽り
「風よ雪いで、私の心を」

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小野寺が眠っている楽へと告白した
その言葉を聞いてしまった千棘

小野寺
【私ね、ずーっと一条君の事が
　好きだったんだよ？】

千棘
（今、何て言ったの小咲ちゃん
　楽の事が…好き…？それって…）

その時、階段下の千棘に
小野寺が気付いて驚く

小野寺
「わあ！！
　ちちっ…千棘ちゃん！？」

ビクッと驚く千棘

小野寺
「もも…もう戻ってたんだ
　はは…早かったね…」

千棘
「え…あ、いやー途中で
　停電になって怖くってさ
　ちょっと出直そうと思って…」

小野寺
「…も…もしかして…
　さっきの私の独り言
　き…聞いてた？」

千棘
「え…？ひ…独り言？

　さぁ…私、雷が怖くて
　全然余裕無かったから

　な…何か言ってたの？」



小野寺
「…ううん…
　聞いてなかったならいいの
　気にしないで」

ホッとする小野寺
俯く千棘

小野寺
「あ！そうだ、千棘ちゃん
　見て！空！

　今なぜだか雲が晴れてて
　流星が…あ…」

だがそう言った瞬間、
空には雲がかかり雨が降ってくる

小野寺
「…あーまた降ってきちゃった
　今少しだけど星空が見えてて
　残念…一緒に見たかったのに…」

千棘
（小咲ちゃんの好きな相手が楽…
　ずーっと前っていつから…？

　もしかして私が楽や小咲ちゃんと
　会うよりも前からずっと？

　私は…私はどうすれば
　いいんだろう…）

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【翌日～教室～】

教室で話している楽達



集
「…で？検査の結果は？」

楽
「別に何ともねーって
　元々一応看て貰っただけだし」

集
「…か～！

　せっかくの天体観測だってのに
　結局流星を観れたのは小野寺だけか

　楽はその大事な時にのびてるし」

楽
「うるせーな」

るり
「昨日はこの街

　本当に台風の目に
　入ってたらしいわよ

　他にも流星を観たって
　人が何人かいたわ」

集
「ちょうどその時、
　ここら一帯が停電して
　皆それ所じゃなかったからね

　流星が観れたのはよほど
　ツイてたんだと思うよ」

小野寺
「えへへ…」

浮かない表情の千棘
それを見た楽が話しかける

楽
「…どうかしたのか千棘
　なんか元気ねーけど」

千棘
「…え、そう？
　別にそんなことないけど」



楽が小野寺と話し始める

千棘
（…小咲ちゃんは楽の事が好き

　…という事は私は小咲ちゃんと
　楽を取り合わなきゃいけないのかな

　…それは嫌だな
　私は小咲ちゃんの事も大好きだし

　それで仲がこじれるなんて事には
　なりたくない…

　じゃあ楽をあきらめる？
　それも…耐えられない

　だってこんなに好きなのに

　初めてこんなに人を
　好きになったのに…）



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【昼休み】

席を立つ千棘

千棘
（よし、決めた！！
　やっぱり全て打ち明けよう

　昨日の話聞いちゃってた事、
　そして私も楽が好きだって事

　私の方だけが知ってるなんて
　フェアじゃないもん

　その後、どうなるかは
　分からないけど…

　きっと言わずにいるよりは
　正しい気がするから…）

その時、廊下を歩く千棘の耳に
楽、集の話し声が聞こえてくる

千棘
（どっから…）

楽と集は窓のすぐ外で話していた

集
「…本当に肝心な時に
　寝てんだよなー楽は

　小野寺をかばって気絶とか

　聞けばまさにその時、
　流星群が見れたんだろ？」

楽
「仕方ねーだろ、
　必死だったんだから」

集
「全くお前はツイてんだか
　ツイてないんだか…」

千棘
（何の話を…）

千棘が窓に近づいて
ノックしようとする

千棘
「おーい、ら…」

集
「でも良かったじゃん
　想い人の膝で眠れてさ」

千棘
（え…）



楽達に気付かれないように
その場に座りこむ千棘

楽
「だから覚えてねーっつーの
　ずっと気絶してたんだから」

集
「もったいないなぁ
　起きてれば絶好の告白の
　シチュエーションだったろうに」

楽
「バカ言え

　中学ん時から好きだった相手に
　そんなホイホイ告白なんて出来っかよ

　するんならそんなシチュエーションに
　流されたりとかじゃなく

　ちゃんと覚悟決めてするに決まってる」

その言葉に固まる千棘



千棘
（楽も…小咲ちゃんが好き？
　中学の頃から…？それって…）

千棘の顔に汗がにじみ出てくる
そして逃げるようにその場から走り出す

楽
「…それに今は千棘の事だってある

　そこもハッキリさせない内に
　告白なんてありえねぇって

　卒業までにはちゃんと決めっから」

集
「…やれやれ
　本当に告白出来るのやら」

その時、渡り廊下を走る千棘の姿が
楽の目に入る

楽
（千棘…？）

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【千棘家】

部屋のベッドに寝転がる千棘

千棘
（日本で1番大切な女の子と
　1番大切な男の子が好き同士
　私は…）



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【翌日～学校～】

下駄箱の床で楽、千棘が会う

楽
「よお、おはよう千棘」

千棘
「…あー…うん、おはよう」

楽
「昨日、何かあったのか？
　いつの間にか先帰ってるし
　ケータイも通じねーしよ」

千棘
「あーゴメン、電池切らして
　そのまま寝ちゃった」

楽
「…だらしねぇなぁ
　…大丈夫なのか？

　結局昨日は1日中
　神妙な顔してたし」

千棘
「あー大丈夫大丈夫
　心配かけてゴメンね
　…………ねぇ、楽」

楽
「？」

千棘
「今日、放課後一緒に帰らない？
　2人で」

楽
「へ…？」

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【放課後】

一緒に帰っている楽、千棘



千棘
「…は～！あっつー！！
　いよいよ夏も本番ね～」

楽
「来週からは夏休みだしな～」

千棘
「夏休みになったら
　イベントもたくさんあるわね
　縁日とか花火大会とか」

楽
「勉強はいいのかよ、受験生」

千棘
「あら私にそんな心配要ると思う？」

楽
「…ムカツクけど反論できねー

楽
（…なんなんだ…
　急に一緒に帰ろうなんて

　いや一緒に帰る事自体は
　別に珍しくないんだが…）

千棘
「…ねぇ楽、ちょっと聞いていい？
　　あんたって小咲ちゃんの事
　どう思ってるの？」

楽
「…は！？どどどどうって…
　そりゃどういう…」

千棘
「とっても素敵な人だと思わない？」

楽
「へ！？ああ…そりゃまぁ…」

千棘
「うん…本当に素敵な人

　いつも優しくてあったかくて
　一緒にいるとすごくホッとする…

　あんたはあんな女の子が
　近くにいる事を
　もっと感謝すべきだわ！

　もうちょっとレディーの扱いには
　気を配りなさいよね…！」

楽
「…はあ、なんでまた急にそんな話…

　…え？もしかしてオレって
　小野寺に対して態度悪い！？

　小野寺に何か相談されたのか…！？」



千棘
「あ、いや別にそういう
　わけじゃないんだけど

　とにかく私の大切な小咲ちゃんを
　泣かせたりしたら許さないわよ
　って話…！！」

楽
「…オレだって別に泣かせたかねーけど…
　なんなんだ一体…（汗」
千棘
「それじゃ私寄ってくとこあるから
　じゃーね楽、バイバイ」

楽
「…おう　また明日な」

笑顔で手を振って
去っていく千棘

楽ナレ
（オレは、この時もっと
　注意深くあるべきだった

　そうしたら少しだけ
　何かを変えられたかもしれないのに…

　その日から千棘は2度と
　学校に姿を現すことは無かった）



煽り
「別れは突然に…」

ニセコイ ネタバレ 213話へ続く