東京喰種:re ネタバレ 77話
『死痴』

--------------------------------------

【流島サイド】

煽り
「流島の戦況は…」

夜になっている流島
浜辺には捜査官達の遺体が転がる
グールが1人呟きながら歩いている

喰種
「すごいね、死体がいっぱい

　砂浜は【CCG】も
　結構やられてるみたい

　アオギリの根城はどこかな
　屍体が道標になりそう」

　…ん、なあに？
　おなかすいたの？

　しょうがないなァ…
　ちょっとだけだよ」

グールが赫子で転がる捜査官を漁り
内臓を取り出して食べ始める

喰種
「おなかも空くよね
　ようやく、パパに逢えるんだもん

　ウンウンウン
　うれしいねえ【シロ】ぉ」

そう言っていたグールは【クロナ】

--------------------------------------

【ミザサイド】

展望台内部に隠れているミザ、部下
負傷している様子のミザ

ミザ
「ぐ…は…く…」

部下
「姐さん…」

ミザ
「…大丈夫だ…

　鈴屋…たしかにアイツは
　化け物だな…

　あそこまで一方的に
　虐殺（ほふ）られるとは…」

背景にはジェイソンを
振り回す鈴屋の姿

ミザ
「…思い出深い場所だ…
　ここは…」

部下
「え…？」

ミザ
「この展望台は…
　ナキと出会った場所だ」



--------------------------------------

【ミザ回想】

展望台に上ったミザ、
そこから流島を見下す

ミザ
（思ったよりデカい島だな…

　地形を覚えるのに
　時間がかかりそうだ）

　今日から【刃】も
　アオギリの樹の傘下…

　強者が掌握する世界…
　これも世の流れか…）

その時、下からナキが叫ぶ

ナキ
「オイ！なにやってんだ
　そこのホシンシャ」

ミザ
「保身…は？」

ナキ
「ホホーシンニュウってやつだぞ！
　ヘンな髪型だな

　【どーりょ】問題で
　色々面倒な事になんだ」

ミザ
（ほほー？どーりょ？）

ミザ
（さりげなく髪型馬鹿にされた？
　なんだコイツ…訛り…？
　いや…単純に、馬鹿？）

ナキ
「んで、その場所は俺のホクトウ席だ
　とっとと下りろ」

ミザ
「…」

そう言われ降りるミザ

--------------------------------------

そこにやって来るホオグロ、承正

ホオグロ＆承正
「兄貴ィ！ナキのアニキッ」

ナキ
「オウお前ら」

ホオグロ
「あ…そいつ【刃】の…」

ミザ
（ナキ…！こいつが…
　白スーツの現トップ…）

ナキ
「いやなコイツ俺のホクトウ席に
　どっぷり【鎮座】してやがってよ」

ホオグロ
「そいつ【ミザ】っすよ
　今日からアオギリ入りでしょ」

ナキ
「ん、そーなのか？」

ミザ
（狡猾さで名の知れた
　【13区のヤモリ】の後継者が…
　こんな馬鹿だと？）

ホオグロ
「30分前にタタラから
　聞いたじゃないスか…」

承正
「アニキ、【ホクトウ席】じゃなくて
　【特等席】ッス

　展望台が【北東】にあるから
　ごっちゃになったんスね」

ナキ
「ん？【北東】ってなに？」

承正
「【方角】のことです、兄貴」

ミザ
（なんだ【この】知能レベルは）

ナキ
「共学」

承正
「それは男女が一緒に勉強する
　楽しいやつです兄貴」

ホオグロ
「【鎮座】が言えてなんで方角が
　わかんないんスか…（汗」

ナキ
「ま、新入り、色々わかんねー事
　あるだろーが…
　俺がアバタイズしてやる」



ホオグロ
「アニキアドバイス」

承正
「ん？デバイスがどうした？」

ミザ
「…」

ミザ
（大丈夫なのか
　この組織（アオギリ）…）

--------------------------------------

CCGと戦闘した回想…

CCGが羽赫の弾幕を撃ってくる
ナキが適当に倒そうとする

ミザ
「こらナキ！
　【箱持ち】は羽赫から狙え！
　基本だろ！」

ナキ
「なにい！？」

--------------------------------------

別の回想場面…

ナキ
「作戦はこうだ

　まずお前らが右からワッと行って
　俺は真ん中グワーッて…

　そんでドカン」

ミザ
「指示は明確にしろ！
　それか承正たちに任せろ！」

--------------------------------------

また別の回想描写

複数のグールが狭い通路に固まり、
身動きが取れなくなった時

ナキ
「進めねえ！」

ミザ
「広間に出ろ！
　数の利を殺すな！」

--------------------------------------

ナキのバカさ加減に
落ち込むミザ



ミザ
「ポンコツにも程があるぞ…
　なんなんだアイツ…」

ホオグロ
「アニキの悪口言ったら
　コロスぞババア」

承正
「ホオグロにおなじ」

ミザ
「…お前ら良くアレに付いていけるな
　命がいくらあっても足りないぞ

　元々はヤモリについてきたわけだろう？
　アイツについていく理由が…」

ホオグロ
「…俺は先に【白スーツ】にいた
　このマッチョと引き分けて入ったんだよ
　ヤモリのアニキも確かにすげーが」

承正
「…俺はナキのアニキに
　打ちのめされて惹かれた」

ホオグロ
「【理由】なく付いてってる
　わけねーだろ」

承正
「俺たち義兄弟
　愚者なりに信念がある」

ミザ
「【理由】…？」

承正
「フゥ…ついてこいよ、ババア」

ミザ
「…ババアはやめろ」

--------------------------------------

展望台近くに来たミザ達

ミザ
「展望台…それが…」

指を口にあてる承正
静かにの合図をする

ミザ
（いったい何の…）

展望台の屋上には
泣いているナキがいた



ナキ
「ぐすっ」

ミザ
「！」

ナキ
「うう…ウド、熊児、速島、肘、
　はじ平、野板、ハモ、ノルノマ」

ミザ
「…ナキ…あいつ…
　なにを呟いて…」

承正
「お、さすが耳良いな

　【過去に犠牲になった
　　仲間の名前】だ

　ヤモリの大兄貴から始まって
　ガギさんグゲさんまで

　何週も何週も一人一人
　ああやって夜通し悲しむ

　30分前の会議の内容も忘れる兄貴が
　仲間の名前だけはけして忘れない
　
　おかげでクマがとれないんだけどなー」

ホオグロ
「理由わかったろババア」

ミザ
「…え」

ホオグロ
「どうせ長生きできねー
　駆逐対象（オレら）

　どうせならあんな風にサ

　いつまでも覚えててくれる
　兄貴の元で逝きてーじゃん？」

ミザ
（私が上に立つ者だからか
　…はたまた単純な女だからか
　男に惚れられる男に私は…）

泣いているナキを見つめるミザ
その頬は赤く染まっていた



【回想終了】

--------------------------------------

部下
「…乙女スね、姐さん」

ミザ
「三十路喰種捕まえて
　それはやめろ」

部下
「…ウチらって部族的に閉鎖的でしたし
　私は良いと思いますけどね
　姐さんが幸せならー…」

その時、ミザの部下が背後から
壁ごとクインケで斬られる

ミザ
「！！ミツシタ！！」

ミツシタ（＝部下）
「ミ…ザ姐ぇ…」

吐血しながら倒れるミツシタ
ミザがその場から距離を取る
そして半兵衛が現れる

半兵衛
「逃げ足速し…」

ミザ
「…！！」

半兵衛
「班の誇りにかけ、この阿原…
　逃さん…三枚刃のミザ…」

ミザ
（【鈴屋の部下（追っ手）】か…！！）

半兵衛
「いざ参る！！」

クインケを構えながら
ミザに向かう半兵衛

半兵衛が素早く間合いを詰め、
クインケを振るってくる

ミザ
（布間を裂くような
　繊細な剣閃き）

ミザがその攻撃を躱して
半兵衛の懐へ入っていく

ミゼが赫子を放っていくが
半兵衛はそれを難なく受け止める

ミザ
（受けの切り返しも充分…！）

ミザが攻撃していくが
半兵衛がクインケで止める



逆に半兵衛の振るうクインケが
ミザの髪をかすめていく

ミザ
（【三枚刃】を出す隙がないとは
　情けない！

　鈴屋の部下は一人一人が
　かなりの手練…

　そんなこと百も承知！！）

ミザが半兵衛のクインケに
強力な蹴りを放つ
壁にめり込むクインケ



半兵衛
「！」

半兵衛
（クインケが壁に…）

半兵衛がクインケを
壁から引っこ抜こうとする

その隙に上空へと
飛び上がるミザ

半兵衛
「！」

--------------------------------------

ナレーション
「ミザが率いる【刃】は

　地下に住まう小型喰種達の
　一族の集まり

　人間社会に出て行く危険を冒さず、
　一族のつながりを強めようと
　近親婚を繰り返した

　それなりに強力な尾赫の赫子を持つ
　血脈を築き上げたが

　一方では小柄で虚弱な性質を
　併せ持つようになっていた

　その風貌と特性から
　【カミソリ（小さな刃）】などと
　揶揄され、

　他の【喰種】から標的にされる事も
　少なくなかった…

　…一族の歴史上、もっとも
　優れた素質を持っていたミザは、

　18歳で首領となった
　（年長者の数が減ったせいもあるが）

　彼女は殺戮と侵略をもって、
　【弱々しい集団の印象】を塗り替えた

　【カミソリ（小さな刃物）でも十分、
　　相手を殺し得るのだ】と」

--------------------------------------

上空へ飛んだミザが
半兵衛へと迫ってくる

半兵衛
「く…」

半兵衛
（抜けいるスキマ無し…！！
　阿原史上圧倒的…危機！！！）

ミザ
（泥臭いのが地下喰種の性分さ！！
　刃物には詳しいんだよ、あいにく！

　もっとも切断に適した入射角や…
　【どうねじ込めば】こういう状況を
　作り出せるかもねッ！！）

半兵衛
「頼む！！
　【銀髑髏（ぎんどくろ）】氏ッ！！」

壁にめり込んだクインケが変形し
複数の刃が出てくる



その出てきた刃に貫かれるミザ

ミザ
(な…！！)



その場に倒れるミザ
冷や汗をかいている半兵衛

半兵衛
「…いつもは先行する役柄では
　ないのですけどね…

　…流石【三枚刃】、
　危うく生を終える所でした

　まだまだ鈴屋先輩のお背中、
　お守りしたい所存…」

半兵衛
（ドクロ氏に感謝しつつ…）

半兵衛
「さて…先輩方の到着を
　お待ちして…」

--------------------------------------

その時、展望台の入り口に
誰かが立っていた

半兵衛
（なんだこのっ！？！？
　異様な…妖気、霊気、瘴気
　などなど！？…）

冷や汗をかく半兵衛
立っていたのはクロナ

クロナ
「おまえ鈴屋の部下かァ？」

両目が赫眼のクロナ



--------------------------------------

【瓜江達サイド】

洞窟を進んでいる瓜江達

瓜江
「慎重に進め、この洞窟…
　構造的にも待ち伏せに適している

　気配はないがなにかしら
　伏兵的な物が潜んでいる
　可能性もある」

安浦
「はい…瓜江さん」

才子
「ウリ…才子ちょっと…」

瓜江
「無理はするな米林…」

そういう瓜江だったが
顔には大量の冷や汗

瓜江
「！」

瓜江
（匂い…強まった…
　…【強すぎやしないか】

　この匂い量…嫌な予感しかしない
　いや…そんなのは…嫌だ！！）

その匂いに瓜江が
更に冷や汗をかく



瓜江
「おれがせんこうする
　しゃお、よねばやしお
　たのむ」

シャオ
「はっ」

瓜江
「ほかは…すしこきょりをってと
　れおにつこいてい」

瓜江の脳内を思考が駆け巡る

瓜江
（考えるな、怖い
　進みたくない…

　進まないでどうする

　いやしかし、かといって
　見れば済む…

　だから見たくないんだよ！
　怖い、黙れ俺！！

　ええい進めッッ！！）

更に洞窟の奥へ進む瓜江達

--------------------------------------

そして洞窟の奥の方に
布が掛けられた椅子を見つける

瓜江
（おれ、においのもと
　はっけんしたぞ）

固まる瓜江

安浦
「瓜江さん？」

瓜江
（…………）

瓜江
「あっ…お…………
　…お前らはくるな…」

安浦
「えっ…瓜江さ…」

瓜江が冷や汗を垂らしながら
椅子の方へと歩き出す

瓜江
（こんな匂いだったか？
　なあ…こんな匂いだったか？）



瓜江が布に触れるようとする
すると布が地面に落ちる

そこにあったのは
四肢と首の無い…

瓜江
「 ( ) 」

目を見開く瓜江



煽り
「静かに佇んでいた【それ】は、
　衣服を着せられるのを待つように
　次号、無残に佇むそれは！？」

東京喰種:re ネタバレ 78話へ続く