キングダム ネタバレ 482話
『離眼と趙国』

扉絵
「離眼へ向かう桓騎達」

煽り
「この男、一挙一投足、
　予測不能、理解不能」

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煽り
「紀彗の弱点を抉り、

　趙軍を混乱に落とす選択を
　送った桓騎！！

　趙軍に緊張が走る！！！」

紀彗に叫ぶ金毛

金毛
「丘を捨てるだとっ！？

　いっ…言ってる意味が
　分かっているのか紀彗！！

　この丘の占拠が戦の勝利だ！！

　ここまできて自らそれを
　捨てると言うのか！！」

紀彗
「私は助けに行かねばならんのだ
　離眼を…！」

岳嬰
「…」

金毛
「紀彗…冷静になれ！

　戦略的に桓騎軍が離眼城を
　落とす意味はない！

　飛び地の離眼を奪っても
　趙軍に包囲され滅するだけだ！

　明らかにあれはお前を
　誘いだす罠だ！

　紀彗軍が去った後、
　この丘を攻め上がる兵が
　必ずどこかに隠してある！」

馬呈
「…んな事は当然城主も分かってる！

　それでも追わねェと
　桓騎のヤロォは…

　必ず腹いせに離眼を血の海にする
　黒羊（ここ）の民よりひでェ方法でな！」

青公
「奴らは人間ではない！
　そなたらも下に行って見て来い！」

兵達
「今こうしている間にも
　桓騎は進軍しています！
　早く追いましょう、紀彗様！」

紀彗
「金毛…」

金毛
「…紀彗…三日…
　いや、せめて二日待て、紀彗

　砦が完成すれば
　慶舎軍だけで丘を守れる」

紀彗
「…無理だ、今の離眼は
　桓騎軍を相手に半日ともたぬ」

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その時、岳嬰が前に出る

岳嬰
「いい加減にしろ！！
　そんな身勝手が通じるとでも
　思っているのか貴様ら！！」

紀彗に槍を向ける岳嬰



岳嬰
「ここまできて戦の放棄など
　この俺が許さん！！

　どうしても行くと言うのなら
　殺してでも貴様をここに留めるまでだ！
　紀彗！！」

岳嬰の槍を馬呈が斧で止める

馬呈
「その前に俺がてめェをぶっ殺す」

岳嬰
「ほう申したな…下郎っ！」

金毛
「止めろ岳嬰！！

　もしこの場で紀彗を殺せば
　全離眼兵は決死隊となって
　【我ら】に襲い掛かる！

　それが今の趙軍の前にある道の中で
　最悪の愚道であると気気付かぬと言うなら
　お前は歩兵からやり直してこい岳嬰！！」

岳嬰
「！？」

兵達
「…金毛様…」

馬呈
「…」

金毛
「今、我々はこの戦いの
　【勝ち】か【負け】のどちらを

　選ぶかという究極の選択を
　突きつけられているのだ！！

　あのっ…桓騎から！！」

兵達
「…」

金毛
「…そしてその決断を下すのは
　無論軍の大将…

　今の趙軍で実質的大将である
　紀彗だ！」

紀彗
「！？」

岳嬰
「金毛！！貴様っ！」

紀彗
「金毛…」

金毛
「…」



金毛
「だが最後に【中央の武将】として
　離眼城、城主紀彗に
　言っておく事がある！！」

紀彗
「！！」

馬呈
「！？」

金毛
「我々慶舎軍は離眼のためではなく
　【趙国を守るため】に
　黒羊に戦いに来たのだ！！

　黒羊を失えばここを拠点に
　周囲一帯が秦軍の侵略を
　受けるだろう！

　離眼はその中の一城にすぎず
　実際そうなった時、

　どれほどの趙人の血が流れるか
　命が失われるか予測すら立たぬ！

　そして一帯全てが秦の領土と化したとき
　言うまでもなくそこからさらに
　幅広く奥深くまで次の侵略を受ける！

　そうさせぬための黒羊戦だったのだ！

　それを防ぐために皆は戦い血を流し！
　その大義のために死んだのだ！

　離眼一城を救いに行くというのなら
　【その全てを無に帰すことになる】

　離眼一城のために趙国西部一帯が
　失われるやもしれぬのだ！

　それほど…それほど重い選択なのだ！
　よく考えて決断しろ！紀彗」

紀彗
「…（汗」

兵達
「…」

馬呈
「…」

青公
「…じ、城主…」

中央丘で趙軍の旗がはためく
離眼の子供達の顔が浮かぶ紀彗

紀彗
「…（汗」

紀彗
（私は…）



苦渋の決断に悩む紀彗
笑みを浮かべる桓騎の描写

そして一夜明ける

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【離眼城】

城壁の見張り兵の父親に
木彫の人形を見せる子供

子供
「どう？お父」

父親
「おー、よくできてるじゃないか、佳徳」

佳徳
「紀彗様達が無事に戻って来られるように
　皆でたくさん作ってるんだよ」

父親
「おーそうかそうか」

その時、他の見張りの兵士達が
遠くの方から近づく何かに気付く

兵士
「！？お、おい…あれっ…」

父親
「あっなっ…！」

兵士
「ぐっ軍だッ！！
　もっ、もの凄い数の！」

佳徳
「！！」



兵士
「バッ！馬鹿な！！」

父親
「紀彗様から…
　黒羊から何か連絡はあったか！？」

兵士
「何もない！！
　黒羊からは二日前から何もっ…」

父親
「じっ、じゃあこの軍はっ…」

兵士
「金を鳴らせェッ！！
　女子供を地下道へ！！」

敵襲を告げる鐘が打ち鳴らされる

兵士
「男は全員城壁の上に登らせろォッ！
　だ…だがこの数じゃ戦に…」

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【城内】

民衆
「敵襲！！…！？」
　敵襲だ！皆地下に入れ！！

　桓騎だっ！！ひいっ！！
　桓騎が来たぞオッ！！

　キャアアア！！

　バカな黒羊が抜かれたのか！
　では紀彗様達は…まっ…負けたのか
　紀彗様が…

　紀彗様！！紀彗様！！」

兵士達
「いいから早く地下へ！
　桓騎軍はもう目の前まで
　来てるぞ！！」

民衆を兵士達が誘導していく

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【城壁】

佳徳が迫ってくる軍隊の方を
目を見開きながら見ている

佳徳
「…（汗」



父親
「何をしている佳徳！
　早く下に行け！
　ばァさんと地下に！」

その時、佳徳が何かに気付く
その事を父親に伝える佳徳

父親
「え！？」

敵襲の鐘が鳴り響く中、
父親が他の兵士達に何かを伝える

それを聞いた他の兵たちが
避難していた民衆に伝える

民衆
「！！」

敵襲を告げる鐘が止まる

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離眼の城門が開かれる
駆け出していく子供達

そして現れたのは紀彗達だった

一同
「紀彗様ァっ！！」

涙を流して駆け出す子供達
紀彗が子供達を抱き締める



城門から家臣達が走ってくる

備候
「紀彗様！！よくぞご帰還をっ！！
　帰還という事は見事桓騎軍を
　返り討ちにっ…！？紀彗様！」

その言葉に苦い顔をする紀彗

紀彗
「…備候、家宰達を集めよ」

備候
「？」

紀彗
「離眼を離れる準備をせねばならぬ…」

備候
「！？」

煽り
「【勝利】を捨て、【民】を取った紀彗
　徹底した桓騎の策略に対し
　趙軍は大きな代償を払う！？
　次号、黒羊の戦いの行方は…！？」

キングダム ネタバレ 483話へ続く